7月11日、杉並区にある「東京コミュニティスクール(以下TCS)」の視察に行ってきました。(写真は視察後の久保理事長との意見交換)

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教育分野に関心の高い、多摩市の岩永ひさか議員、渋谷区の浜田浩樹議員と一緒にお伺いしました。

緑に囲まれた住宅地の中にある、一般の一軒家を校舎として活用しています。
周辺には小学校、公園など公共施設も多くあります。


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子どもたちの自主性を尊重した個性的な学びを行っている、小学生を対象とした学校で、通学している子どもの数は20名ほど。
公立、私立という枠組みではなく、NPO法人東京コミュニティスクールが運営しています。
いわゆる、文部科学省が提唱している地域立学校のコミュニティスクールとは全く違う概念の学校です。


学校の特徴を理解するために、朝の時間から、お昼、下校まで1日の授業に密着し、最後に久保理事長のお話を伺いました。

朝の会は全校生徒と先生が一斉に語り合うことができる時間。
この日は、来週に控えた全校生徒での富士山の登山に備え、久保理事長とスカイプで通話しながらの対話でした。プログラムの共有、質問事項などを一通りやった後、スカイプを切った後に、内容の確認と振り返り。
校長の市川力さんが中心になって、話の内容の確認、質問の内容についてのフィードバックをしっかりやっていました。
子どもたちに「気付かせる」ことに重点を置いています。
朝の会の後は、1分間の「黙想」。この後 授業が開始となりました。

☆探求に重きを置いていることもあり、壁には探求のためのキーコンセプトなどが。
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張り紙にも、英語と日本語が自然に共存しています。
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授業の見学。探求テーマが定められ、人とのつながりや考える力を養えるプログラムが充実しています。
探求テーマ

☆ テーマの授業(5・6年生)
「海外に住む人たちとつながろう」の授業。
ボーダレスワールド「いつでも、どこでも、世界中の人とつながって何かを変えることができる」を考えた発表をするための授業。
先生、子どもたち、活発に議論をしていました。
海外を舞台に活躍するためのマインドを育てる、という意味では大変個性的な議論で、大人の学びにも通用する質の高さを感じました。
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☆英語の授業(1.2年)
先生の発音もとてもナチュラル。今まで中学校で学んでいたような英語ではなく、使うことを意識したスタイル。
一人一人に目を配り、丁寧に教えていました。
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☆お昼は教室で、子どもたちとお話しながら頂きました。
学校の近所に引っ越して通っている子ども、兄弟が卒業生だという子ども、色々。
みんなとても仲良しでした。
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☆テーマの授業。(1.2年生)
新聞紙を作って橋をつくっています。
橋の構造も、見学などもして、どんな形にすれば強度が上がるかなどもしっかりと探求して、取り組んでいます。
NEXCO中日本が主催する「新聞紙で作る橋コンテスト」に応募するとのこと。楽しみながら、創意工夫。頑張っていました。
テーマ探求の授業の詳しい内容はTCSホームページに詳しいです。
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1日授業を見学した後、久保理事長から詳しいお話をお伺いしました。
細かい質問にも丁寧にお答えいただき、TCSの教育の熱い理念も聞かせていただきました。


☆東京コミュニティスクールに関するQ&A ~久保理事長に聞きました~


Q:東京コミュニティスクールの学校としての位置づけは?

A: 種別としては無認可の学校で、この学校に通う子供は自分の家のある地元の学校に学籍を置いたまま通うので、文科省的には「不登校扱い」となってしまうそうですが、TCSから出される「学びのガイドライン」(一般の小学校の通知表に当たる)を持参して保護者を通じて報告を行い、卒業となる。

Q:通っている子どもたちの親御さんはどんな人が多い?

A:海外生活が長く、海外で教育を受けた親御さんや、クリエーターのお子さんが多く、日本の学校にどことなく違和感を感じている経験をお持ちの親御さんが、TCSを探して子どもを入学させるということが多いようです。

Q:東京コミュニティスクールで働いている先生はどんな人?

A:東京コミュニティスクールの理念に共感し、「こういうことをやりたい!」というものを持っている人。
教員免許は必ずしも必要ではなく、「探究型の教育ができるか」ということが大事。
フルタイムの先生は4人、英語、サイエンスなどはボランティア(無給)の先生。

Q:体育の授業は?
A:校庭などはないが、周辺の公共施設をフル活用。公園、プール、児童館などを活用して行う。

Q:東京コミュニティスクールの英語教育は?

A:英語教育には、開校当初から変遷がある。週5時間だった時も、探求型の教育を重視したため、週1時間にした時もある。
 今は、英語、リーディング、アート、体育の一コマで英語教育を行っており、週5時間。
探求型の教育とリンクさせている。
300語を小学校卒業までに身につける(簡単な絵本の9割が辞書なしで読める)
目標としては、TCSの卒業生が、高卒までに外国の大学で、普通に(語学の準備をすることなく)学問を受けられるレベルの英語力を小学校のうちに身につけること。国際バカレロアの基準を意識している。

Q:学校教材の選定は?
国語は、本を読みこむこと、書くことを意識した教材をそれぞれ独自で作る。
算数は、市販の塾向けの教材をベースにカリキュラムを組む。
レベル的には学習指導要領よりも少し上。子どもの学力にもよるが、今の6年生の算数は、受験勉強レベル。

Q:卒業後の子どもたちの進路は?
私立、国立、公立など様々。塾に行く子供もいるが、学校の勉強だけで受験には対応できる。

Q:東京コミュニティの教育の特徴、公教育とは違うところは?
A:目指すところが違う。
日本の公教育は、決められたことをこなすことには大変優れているが、将来的にはコンピューターにとって代わられてしまう。
TCSでは、遊ぶことも勉強と捉え、探求すること、考えることに重きを置いている。

 議員になって1年と少しですが、今までは地元や視察先の公立小学校の行事や授業などを中心に見ていました。集団の中で、自立性や協調性をはぐくみ、学力をつけていくという面では、公教育の頑張りやそれを支える地域や親御さんたちのパワーは常々感じています。

 今回見学した東京コミュニティスクールは、一人一人を尊重した少人数の学校ならではの良さがあり、一つの家族のように学んでいるという一体感がありました。子どもたちもとてもイキイキとして楽しそうでした。

公立、私立、TCSのような、オルタナティブスクール、どちらもそれぞれ良さや課題があると思います。

学校教育そのものが発展し、個々の子どもたちの成長をサポートしていける環境を作っていくためには、様々なタイプの学校を選べる選択肢も必要なのではないかことを感じる本日の視察でした。

対応していただいた、TCSの久保理事長、市川校長、先生、スタッフの皆さん、ありがとうございました☆ミ

☆一緒に視察に行った岩永ひさか議員のブログも大変分かりやすいです。

東京コミュニティスクール ホームページ

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