本日は、区議会民主党の会派所属議員4名、全員そろって足立区の視察。
まずは、足立区立第四中学校で「コミュニティスクール」事業の視察
その後、足立区役所にて、小中学校の「おいしい給食」の2つの事業を視察し、食堂で給食ランチの実食。
「おいしい給食」については、6月頃に、若手議員の勉強会で参加する予定でしたが、公務で行けなくなってしまったので、会派の先輩方をお誘いし、コミュニティスクールも合わせて企画しました。
約2時間の充実した視察でしたので2つに分けてご報告します。
■足立区政の概要・足立区の学校教育
本題に入る前に、足立区政についての説明、教育に力を入れている背景の説明がありました。
都内の視察を行う場合でも、人口、財政規模、課題等はまちまちなので、視察自治体の特徴はしっかり押さえておく必要があります。
☆足立区の概要
足立区の人口は、約68万人(江東区は47万人)
足立区の財政規模は一般会計予算で2436億円(江東区は1614億円)。
人口も予算規模も大きい。
その48%が民生費(江東区は43.7%)
生活保護費は474億円(江東区は200億円超)と23区の中でも厳しい状況。
☆足立区の学校教育の状況
■厳しい家庭の経済状況(就学援助率4割、多い地域は7割)
■初任教員の大量配置
■現行の教育制度の弊害が大きく影響(財政上、人事上の影響)
■子どもの学力問題の課題:
四則演算が苦手、漢字が読めないなどの基礎学力不足
(義務教育で、コンビニでおつりの計算ができ、新聞が読める学力は必要)
■子どもへの支援の充実:
特別支援を要する子どもの増加や経済的に厳しく進学等を断念
(就学援助率は平均4割、高い地域だと7割程度)
足立区では、「人生前半期における社会保障」として教育を捉えなおす観点から、子どもたちの学習支援や就学支援を行っているとのこと。高い生活保護率を課題としているため、教育=生活保護からの脱却という視点を持ち、教育行政に力を入れているという説明がありました。
■コミュニティスクール視察
足立区議会事務局同席のもと、足立区教育委員会学校支援課、足立区立第四中学校校長・副校長、足立区立第四中学校 開かれた学校づくり協議会会長から説明を頂きました。
☆足立区のコミュニティスクール
①コミュニティスクールとは(一般的定義と都内の状況)
コミュニティスクールは、学校と保護者、地域がともに知恵を出し合い、一緒に協働しながら子どもたちの豊かな成長を支えていく「地域とともにある学校づくり」を進める仕組み。
コミュニティスクールには、保護者や地域住民などから構成される「学校運営協議会」が設けられ、学校運営の基本方針を承認したり、教育活動などについて意見を述べるといった取り組みが行われる。
全国では、1183校(24年4月現在:前年比394校増)、文科省では5年間で全国の公立小中の1割指定を目標としている。
都内でコミュニティスクールを実施している区は、足立区の他には杉並区(18校)、世田谷区(74校)、三鷹市などが有名なのですが、運営形態や地域の実情に合わせ、少し違いがあります。
②足立区のコミュニティスクール
足立区では、公立小71校、中学校37校のうちの5校がコミュニティスクール。
視察した第四中学校は全校生徒669名の大規模校で、落ち着いた雰囲気の学校、とのこと。
夜間中学(さまざまな事情で中学校を卒業できなかった社会人が通う学校)
一般的には「学校運営協議会を設置した学校」をコミュニティスクールとして定義されているのですが、足立区では、全小中学校に設置されている「開かれた学校づくり協議会(「開協」)に学校運営協議会の機能を付加した「開かれた学校づくり協議会型コミュニティスクール」の設置を推進していることから、「開かれた学校協議会型コミュニティスクール」と呼んでいます。
自治体によっては、自治体からコミュニティスクールの実施を指定する場合もあるのですが、足立区の場合は、開かれた学校づくり協議会の会長と学校長の連名で申請し、足立区教育委員会がコミュニティスクールに指定するという形をとっています。
■なぜ、コミュニティスクール(CS)の申請をしようと思ったのか(開かれた学校づくり協議会 高田会長)
足立区立第四中学校の開かれた学校づくり協議会では、第四中学校の学力を、区内トップレベルと認識し、この学力を、区内だけではなく、都でも高いレベルが維持できるように、教職員と協議会が生徒の学力向上について前向きに検討できると考えている。
さらにCSになれば、地域や保護者の力を学校経営に生かし、よりよい学校づくりができると考えている。
コミュニティスクールには、平成23年9月に審議決定。
①保護者・学校・地域の期待に応える学校づくり
②基礎基本の定着した学校づくり
を目指している。
■具体的な活動内容:たくさんの活動内容から・・・
・挨拶活動(校門前にのぼりをたて、多数の父母が参加、生徒会も連携)
・部活動の応援
・会報誌「声援」の発行
「中1ギャップ(小学校から中学校に進学するに当たって、学力、学校生活上の不安、ストレスを感じ、様々な不適応が生じること)の課題追求のためのアンケート」などを行い、生徒の抱える課題をしっかりと踏まえたきめ細かい活動を行っていることも分かりました。
■質疑応答
①コミュニティスクールの指定による学力向上は?
-本校は、昨年度に指定を受けたばかりで、結果は出ていないが、以前からコミュニティスクールとして実績のある五反野小学校の学力は足立区で一番高い。
導入した他校では、荒れた学校が改善できたという効果もある。
②コミュニティスクールの指定による学校選択制の影響は(人気など)
-本校は、昨年度に指定を受けたばかりで、まだ分からないが、もともと伝統的に学区外の生徒が多い。
日本初のコミュニティスクールとして、既に有名になっている五反野小学校は学力が高く、コミュニティスクールだから、という理由で人気が高いという事実はある。
③第四中学校は、地元の生徒が少ない(足立区全域から生徒が通学)という説明があったが、学校運営上問題はないのか
学区外でも開かれた学校協議会やPTAと地域は、連携できているし、足立区全域を地域と捉えるグローバルな視点のもとで、活動している。
(江東区では学校選択制が実施されているが、他地域からの生徒が増えることで、地域と学校のつながりが希薄になっているという課題もあり、その観点からの質問)
学校側・開かれた学校協議会の連携、強い熱意と具体的な行動の数々が視察を通じて理解できました。
コミュニティスクールを江東区で実施することは、会派としてかねてから議会で訴えていることもあるので、この他にもとても活発な質疑があり、有意義でした。
視察で得たことを、江東区の教育向上に生かしていきたいと思います。
続いての記事では、「おいしい給食」を紹介します。
まずは、足立区立第四中学校で「コミュニティスクール」事業の視察
その後、足立区役所にて、小中学校の「おいしい給食」の2つの事業を視察し、食堂で給食ランチの実食。
「おいしい給食」については、6月頃に、若手議員の勉強会で参加する予定でしたが、公務で行けなくなってしまったので、会派の先輩方をお誘いし、コミュニティスクールも合わせて企画しました。
約2時間の充実した視察でしたので2つに分けてご報告します。
■足立区政の概要・足立区の学校教育
本題に入る前に、足立区政についての説明、教育に力を入れている背景の説明がありました。
都内の視察を行う場合でも、人口、財政規模、課題等はまちまちなので、視察自治体の特徴はしっかり押さえておく必要があります。
☆足立区の概要
足立区の人口は、約68万人(江東区は47万人)
足立区の財政規模は一般会計予算で2436億円(江東区は1614億円)。
人口も予算規模も大きい。
その48%が民生費(江東区は43.7%)
生活保護費は474億円(江東区は200億円超)と23区の中でも厳しい状況。
☆足立区の学校教育の状況
■厳しい家庭の経済状況(就学援助率4割、多い地域は7割)
■初任教員の大量配置
■現行の教育制度の弊害が大きく影響(財政上、人事上の影響)
■子どもの学力問題の課題:
四則演算が苦手、漢字が読めないなどの基礎学力不足
(義務教育で、コンビニでおつりの計算ができ、新聞が読める学力は必要)
■子どもへの支援の充実:
特別支援を要する子どもの増加や経済的に厳しく進学等を断念
(就学援助率は平均4割、高い地域だと7割程度)
足立区では、「人生前半期における社会保障」として教育を捉えなおす観点から、子どもたちの学習支援や就学支援を行っているとのこと。高い生活保護率を課題としているため、教育=生活保護からの脱却という視点を持ち、教育行政に力を入れているという説明がありました。
■コミュニティスクール視察
足立区議会事務局同席のもと、足立区教育委員会学校支援課、足立区立第四中学校校長・副校長、足立区立第四中学校 開かれた学校づくり協議会会長から説明を頂きました。
☆足立区のコミュニティスクール
①コミュニティスクールとは(一般的定義と都内の状況)
コミュニティスクールは、学校と保護者、地域がともに知恵を出し合い、一緒に協働しながら子どもたちの豊かな成長を支えていく「地域とともにある学校づくり」を進める仕組み。
コミュニティスクールには、保護者や地域住民などから構成される「学校運営協議会」が設けられ、学校運営の基本方針を承認したり、教育活動などについて意見を述べるといった取り組みが行われる。
全国では、1183校(24年4月現在:前年比394校増)、文科省では5年間で全国の公立小中の1割指定を目標としている。
都内でコミュニティスクールを実施している区は、足立区の他には杉並区(18校)、世田谷区(74校)、三鷹市などが有名なのですが、運営形態や地域の実情に合わせ、少し違いがあります。
②足立区のコミュニティスクール
足立区では、公立小71校、中学校37校のうちの5校がコミュニティスクール。
視察した第四中学校は全校生徒669名の大規模校で、落ち着いた雰囲気の学校、とのこと。
夜間中学(さまざまな事情で中学校を卒業できなかった社会人が通う学校)
一般的には「学校運営協議会を設置した学校」をコミュニティスクールとして定義されているのですが、足立区では、全小中学校に設置されている「開かれた学校づくり協議会(「開協」)に学校運営協議会の機能を付加した「開かれた学校づくり協議会型コミュニティスクール」の設置を推進していることから、「開かれた学校協議会型コミュニティスクール」と呼んでいます。
自治体によっては、自治体からコミュニティスクールの実施を指定する場合もあるのですが、足立区の場合は、開かれた学校づくり協議会の会長と学校長の連名で申請し、足立区教育委員会がコミュニティスクールに指定するという形をとっています。
■なぜ、コミュニティスクール(CS)の申請をしようと思ったのか(開かれた学校づくり協議会 高田会長)
足立区立第四中学校の開かれた学校づくり協議会では、第四中学校の学力を、区内トップレベルと認識し、この学力を、区内だけではなく、都でも高いレベルが維持できるように、教職員と協議会が生徒の学力向上について前向きに検討できると考えている。
さらにCSになれば、地域や保護者の力を学校経営に生かし、よりよい学校づくりができると考えている。
コミュニティスクールには、平成23年9月に審議決定。
①保護者・学校・地域の期待に応える学校づくり
②基礎基本の定着した学校づくり
を目指している。
■具体的な活動内容:たくさんの活動内容から・・・
・挨拶活動(校門前にのぼりをたて、多数の父母が参加、生徒会も連携)
・部活動の応援
・会報誌「声援」の発行
「中1ギャップ(小学校から中学校に進学するに当たって、学力、学校生活上の不安、ストレスを感じ、様々な不適応が生じること)の課題追求のためのアンケート」などを行い、生徒の抱える課題をしっかりと踏まえたきめ細かい活動を行っていることも分かりました。
■質疑応答
①コミュニティスクールの指定による学力向上は?
-本校は、昨年度に指定を受けたばかりで、結果は出ていないが、以前からコミュニティスクールとして実績のある五反野小学校の学力は足立区で一番高い。
導入した他校では、荒れた学校が改善できたという効果もある。
②コミュニティスクールの指定による学校選択制の影響は(人気など)
-本校は、昨年度に指定を受けたばかりで、まだ分からないが、もともと伝統的に学区外の生徒が多い。
日本初のコミュニティスクールとして、既に有名になっている五反野小学校は学力が高く、コミュニティスクールだから、という理由で人気が高いという事実はある。
③第四中学校は、地元の生徒が少ない(足立区全域から生徒が通学)という説明があったが、学校運営上問題はないのか
学区外でも開かれた学校協議会やPTAと地域は、連携できているし、足立区全域を地域と捉えるグローバルな視点のもとで、活動している。
(江東区では学校選択制が実施されているが、他地域からの生徒が増えることで、地域と学校のつながりが希薄になっているという課題もあり、その観点からの質問)
学校側・開かれた学校協議会の連携、強い熱意と具体的な行動の数々が視察を通じて理解できました。
コミュニティスクールを江東区で実施することは、会派としてかねてから議会で訴えていることもあるので、この他にもとても活発な質疑があり、有意義でした。
視察で得たことを、江東区の教育向上に生かしていきたいと思います。
続いての記事では、「おいしい給食」を紹介します。