江東区議会議員の鈴木あやこです。

昨日は江東区議会の決算審査特別委員会、最終日でした。
一般会計では教育費の質疑、特別会計では国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療会計がそれぞれ審議されました。採決の結果、すべての決算が賛成多数で認定されました。

 鈴木あやこは介護保険会計で質問を行いましたので紹介します。
イラスト

30代、40代でも発症する恐れのある、「若年性認知症」について取り上げました。
40代からは介護保険の対象となる疾病ですが、世間的にも認知されておらず、患者や家族に対する周知やサポートなどもまだ手薄い分野です。
 若年性認知症についてもっと行政に取り組みをしていただき、当事者や家族の方に支援が行き届くことを願って質問しました。

介護保険制度の現状と課題について

【質問】
1.若年性認知症について

65 歳未満で発症する認知症のことを「若年性認知症」と呼びます。若年性認知症は、「働き盛りの認知症」とも言われており、本人が現役世代であることから、就労の継続、世帯の経済、こどもの養育、年老いた親をもつ場合には家族の多重介護など、高齢者の認知症とは異なる様々な生活課題に直面する可能性が高まると言われています。
 日本医療研究開発機構が2017年〜2019年に行った調査によると、国内の若年性認知症者は全国で約3万5,700人であることが推計されました。
 若年性認知症の発症年齢は平均で51歳、まれな例では、20代、30代にも発症し、40代後半くらいから発症者が増えていくという傾向があります。
 介護保険制度は、第1号被保険者として65歳以上の高齢者を対象としておりますが、若年性認知症は、特定疾病に指定されており、介護認定を受ければ、40歳から64歳の間であっても第2号保険者として公的介護サービスを受けることができます。

(1)現状把握について
本区において把握している若年性認知症者数、相談状況、対応などの現状について、若年性認知症に関する対応窓口、相談などがあった場合の対応フローなどについても合わせて伺います。

【答弁】
本区における若年性認知症の相談支援件数についてお答えします。まず、若年性認知症者数についてですが、介護保険の認定を受けている方のみの数となりますが、令和2年10月現在で30人となっております。
 また、介護認定を受けている方ですので、脳梗塞等の脳へのダメージにより認知症になった方も含まれますので、単に若年性認知症のみといった実態の把握はできておりません。
また、長寿サポートセンターにおける相談状況についてですが、若年性認知症に特化しての相談集計は行っていませんが、現場からの報告によりますと各センターとも1年に1人程度の新規の相談があり、状況に応じて継続支援を行っております。対応につきましては、個々の状況に合わせて、障害福祉・保健所所管や医療機関、東京都若年性認知症総合支援センター等と連携を図りながら必要な情報・サービスの連携等に努めております。



(2)当事者や家族などへの相談窓口などの情報提供と啓発について

若年性認知症の発症年齢は平均で51歳とされており、働き盛りであり子育て中の方などもいるため、家族への影響も含めて社会生活への影響が大変大きいものとなっています。このため、早期発見、早期診断、さらにはその後のサポートに迅速につなげていくためにも、若年性認知症の特性や受けられる公的支援について、当事者や家族に届く情報提供やサポート体制の充実が必要です。
豊島区では、若年性認知症についてホームページに概要や相談窓口、支援窓口などをわかりやすく掲載し、若年性認知症の方や家族の方向けには、病気の症状や進行、相談の内容に応じて利用できるサービスや相談窓口などをまとめたリーフレットなども作成するなどの取り組みを行っている。
本区においても、このような取り組みが必要と考えるがいかがでしょうか?
また、若年性認知症については、職場や地域の理解も必要だと考えます。
区民や事業者への啓発についてどのように行っているか合わせて伺います。

【答弁】
若年性認知症に特化した情報提供は現在行っておりませんが、認知症というひとくくりにした観点からは、認知症ガイドブックの中で、「働き盛りを襲う若年性認知症」の項目について触れ、認知症の症状や若年性認知症の方が受けられる主な制度を簡単に説明しているところではあります。現在の取組状況としては、認知症ガイドブック、そしてその概要版のパンフレットのみとなっておりますので、若年性認知症認知症に関する概要や保険窓口等の紹介については、今後検討してまいります。
区民や事業者に対する若年性認知症の啓発については、現在は具体的な取り組みは行っていませんが、効果的な啓発の方法を含めて今後検討してまいります。


(3)医療機関や支援団体との連携について
本区における若年性認知症に対する医療機関や支援団体・各種相談窓口との連携体制について伺います。

【答弁】
若年性認知症は高次脳機能障害やうつ病などの精神疾患と区別がつきにくいことから、医療につながっていない場合は、まずは保険相談所が行っている精神保健相談や、長寿サポートセンターにおける総合相談が窓口になり、必要に応じて専門の医療機関につなぐなど、保健医療分野との連携を図っているところです。また、長寿サポートセンターでは、ご本人や家族のみならず、地域の医療機関等から相談を受ける場合もありますので、順天堂江東高齢者医療センターや、東京都若年性認知症総合支援センターをはじめとした専門機関との連携を図りながら在宅生活の支援を行っています。
また、認知症ガイドブックにおきましても、東京都若年性認知症総合支援センターや若年性認知症サポートセンターをご紹介し、医療機関につなげているところであります。


(4)就労支援について
 東京都健康長寿医療センターが2019年3月に公表した調査報告書によると、若年性認知症の多くの方が発症時には就労しているものの、勤務先の理解や配慮がないことなどから、7割の方が退職を余儀なくされ、その結果収入が減少し、主な収入源が障害年金や生活保護になっているという現状があります。
若年性認知症発症後も可能な限り就労を継続することは、経済面のみならず、その人の生きがいという面でも大切です。
若年性認知症は働いている人が発症することが多く、休職中に受けられる傷病手当金は在職中しか手続ができないため、退職してしまうと、受けられるはずであった社会保障が受けられなくなってしまいます。また、若年性認知症の方は作業能力があり、勤労意欲もあることが多いことから、現在の職場にサポートを受けて残れる道を模索しつつ、それが難しい場合は経済的に困窮することを防ぐために、在職中からスムーズに障害福祉サービスを活用した福祉的就労への移行などへの就労移行を進めることが重要と言われています。
若年性認知症の方への就労継続、就労移行への支援についてどのように取り組んでいるか、区の取り組みや関係機関と連携した取り組みの現状と課題について伺います。

【答弁】
認知症の方は、作業能力が保たれ、勤労意欲があっても、新しい人間関係の構築や環境への適応、新しいことを覚えることは困難で、本人の負担も相当なもので、再就職するのは極めて難しいのが現状になっております。
したがって、現在の職場での勤務時間の見直しや、配置転換での仕事の見直しによる就業継続、障害者雇用枠を活用した就労継続などに努めることが必要と考えております。
 また、障害者総合支援法による障害福祉サービス受給者証の交付を受けている場合には、若年性認知症の人が退職した場合の受け皿の一つとして、
障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つである、就労継続支援事業所(A型・B型)があります。その中でも、精神障害者を主として受け入れている事業所は、身体障害や知的障害の方が中心の事業所と比較すると、そこを利用する人と認知症の人との共通点がある場合も多く、若年認知症の方にとって最も利用しやすいものと考えております。また、若年認知症に限ったものではありませんが、生活困窮されている方については、福祉事業所が行っております就労支援事業により、仕事の斡旋や紹介、就労支援センターへつなぐなどを行っているところです。
 課題についてでありますが、本区におきましては若年性認知症の方を総合的に支援するといったスキームや窓口がないことかと認識しております。


☆☆☆
若年性認知症については、まだまだこれから取り組む課題が多い分野ですが、区の取り組みが充実できるよう働きかけていきたいと思います。


政治家 ブログランキングへ